プロが意識する調色のコツ/2色目・3色目の選び方
今回の内容は、「プロが意識している調色のコツとベース色の選び方と混色の注意点」で解説した下記の3つのステップの中の「2」、「3」の手順について深掘りします。
- 作りたい色に1番近いベースとなる充填材を選ぶ
- 選んだベースとなる色と作りたい色の明るさを調整する充填材を選ぶ
- 1と2で選んだ色に3原色(赤青黄)の中から作りたい色に混ざっている色を選ぶ
調色の2色目の選び方
まずは2色目の選び方を見ていきます。
1. 作りたい色に1番近いベースとなる充填材を選ぶ
プロが2色目を選ぶ際に重要視しているのは、作りたい色の明るさを調整する充填材の選び方です。1色目のベースに対して、作りたい色が明るいか暗いかを判断し、近い色を選ぶことがポイントです。
【注意点】
暗くしたいからといって黒や濃い茶系、明るくしたいからといって白やベージュ系を選ぶと、調色が難しくなることがあります。明暗が分からない場合は、リペア箇所に少量溶かして判断しましょう。
2. 選んだ色を溶かす
2色目の選び方が決まったら、それぞれの色をパレットに溶かしていきましょう。この段階は非常に重要なポイントです。
① 1色目に選んだ色を500円玉ほどの大きさになるまで溶かします。
② 2色目に選んだ色を①に直接混ぜるのではなく、溶かした①の色の隣に同量とかしましょう。
③ 溶かした2色を少しずつ混色していきます。
調色の3色目の選び方
次に3色目の選び方を見ていきます。
1. 彩度の調整をする
2色の混色が完了し、作りたい色に近づいてきたら彩度(鮮やかさ)の調整を行います。1と2で選んだ色に、3原色(赤青黄)の中から、作りたい色に混ざっている色を選びます。
彩度の調整は必ずしも必要とは限りません。リペアの対象が白い建具であった場合などは彩度の調整は不要です。
前回のコラムでもお伝えしましたが、色は混ぜれば混ぜるほど色が濁ってしまいます。この色が「濁る」とは「彩度」が無くなることを指しています。木目調の床や建具、家具などは茶色ではなく、実は「彩度」がある茶色である場合がほとんどです。
2. 混色の方法と彩度の調整写真
様々な色の充填剤が存在しますが、これらの充填剤を作る際には既に混色が行われており(主に白や黒が混ざっています)、これによって充填剤の彩度が下がっているのです。この下がってしまった彩度を戻すために3原色(赤青黄)を少量混ぜることで、リペア対象に色を近づけることが可能です。
混色の方法は1色目と2色目を混ぜた方法と同様です。
3. プロのパレットと調色の効率
白系と茶系に分けて2枚のパレットを用意し、意図していない色が混ざり込まないように工夫していますね。また、調色は時間がかかる作業です。1度に必要な量を作る方が、少量を数回に分けて作るよりも効率的です。
プロのパレットの使い方を見ると画家さんのパレットの様にも見えてきますね。
リペアスクールへの参加と応用・調色強化コースの案内
皆さんプロの色選びのコツいかがでしたでしょうか。文章と写真だけでは伝わりにくい箇所も多いと思います。お時間のある方で興味のある方はリペアスクールにお越し頂ければ弊社の現役現場スタッフが分かりやすくレクチャーをさせていただきます。
また、過去に弊社リペアスクールを受講いただいた方向けに応用・調色強化コースを設けております。調色にお悩みの方は応用・調色強化コースへのお申込みもお待ちしています。